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スティーブン・キングの『黙秘(Dolores Claiborne)』が泣けた

 

【今回は長文で屁理屈が多いです】

ついさっきまでスティーブン・キングの『黙秘/Dolores Claiborne(1995年)』を観てた。

泣けたよ。

「Dolores Claiborne(ドロレス・クレイボーン)」は原題で、主人公の名前。
ちなみにドロレスを演じたのは『ミザリー(1990年)』でアカデミー主演女優賞をとったキャシー・ベイツ
冒頭のアイキャッチに映ってる左側の中年女性がキャシーで、右側の若い女性は娘役のジェニファー・ジェイソン・リー

 

数年前にも観た覚えがある映画なんだけど、イイ感じに記憶が抜け落ちてて新鮮な気分で観れた。

スティーブン・キングと言えばホラーを連想する人が多いだろうけど、この作品はヒューマンドラマだ。(サスペンスという人もいるかも知れないけど、それはメインの要素ではないと思う)

先ずはざっくりとあらすじを見てくれ。

アメリカのメイン州にある小さな島。
富豪未亡人ベラ邸を訪れた郵便配達人が見たものは、血だらけで横たわる女主人ベラの横で、のし棒を手に呆然と立ち尽くす家政婦ドロレスの姿だった??。
無実を主張しながらも黙秘を続けるドロレス。彼女には20年前、夫殺しの罪で不起訴になった過去があった。
事件を知り数年ぶりに帰郷した娘セリーナにも、ドロレスは何も語ろうとしない。
事件の真相を探り始めたセリーナは、次第に母親の驚くべき秘密を知ることになる……。そして、日食の闇の中で起きた20年前の事件の真相も明らかになろうとしていた……。引用はAmazon

 

キャシー・ベイツ扮する母親ドロレスとジェニファー扮する娘セリーナの母娘の愛情と葛藤を中心に、幼児虐待・精神障害・ドメスティックバイオレンス・女性差別・身分格差・孤独死etcといった様々な社会問題が同心円状に描かれていくストーリーはさすがスティーブン・キングといったところ。

ボクはこういう映画が大好きだ。

特に母親ドロレスの娘セリーナに対するひた向きな愛情が切ない。飲んだくれでロクな稼ぎのないダメ夫から幼いセリーナを守るために一生懸命働くドロレス。それを表には出さずにひたすらセリーナのために苦労を我慢する様は心が締め付けられる。

家では夫から暴力を受け、家政婦として働いてる家ではお金持ちの女主人ベラにこき使われながらもセリーナのために一生懸命お金を貯めるドロレス。

ところがダメ夫はドロレスが貯めたそのお金をこっそり盗み、その上13歳の娘セリーナに性的虐待をしていた。

そんな絶望的な状況にあるドロレスに手を差し伸べたのは意外にも女主人ベラだった。

「女は場合によっては鬼にならなければ生きていけないのよ」 女主人ベラの言葉がドロレスに夫殺しを決意させる。

富豪の未亡人ベラもまた、かつては鬼となることで夫から自由と財産を手に入れていたのだ。

ここら辺りに当時のアメリカ社会にあった女性差別が垣間見える。女が人間らしく生きるためには「鬼になること」が必要な時代だったのだ。

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以来、20年間人生を共にしてきたベラとドロレス。その関係は女主人と家政婦ではなく、孤独を共有する寂しい女同士のつながりだった。

誰も頼れる者がいない一人ぼっち同士だからこそ分かち合えるお互いの孤独。

20年の歳月で寝たきりになってしまったベラと彼女を介護するドロレス。

ストーリーはベラを長年介護してきたドロレスに、ベラ殺害容疑がかけられるところから始まる。

作品冒頭ではベラがドロレスと揉み合って階段から転落するシーンから始まるのだが、その場面では巧いトリックが効いており、視聴者を自然と錯誤へ導く仕掛けになっている。

 

成長したセリーナは都会でジャーナリストとなり活躍していたが、母ドロレスにベラ殺害容疑が掛けられていることを知って久しぶりに帰郷する。

事件を調べていくうちに母ドロレスの20年前の犯罪(夫殺し)の真相が、自分が父親から受けていた性的虐待に起因することを知る。

話が前後して申し訳ないが、ドロレスが20年前に犯した夫殺しは証拠不十分で無罪放免になっている。

母が父を殺したのは単純な夫婦不和からではなく、娘(セリーナ)を守るためだったのだ。

それまでは母との間にワダカマリを持ったまま疎遠な関係になっていたセリーナだったが、自分が大きな誤解をしていたことに気付き母のベラ殺害容疑を晴らすべく立ち上がる。

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最終的には母ドロレスの容疑が晴れて母娘のワダカマリが解けたという点では「ハッピーエンド」と言っていいのかも知れないが、ボクは晴れやかな気持ちと言うよりはやるせない切なさが込み上げてきた。

それはやはりこの作品の至る所に散りばめられている社会問題が頭にこびり付いて離れないからだろう。

25年も前の作品で提起されている社会問題は未だに解決されずにアチコチに転がっている。ドロレスやセリーナのような母娘はどこにでも居るし、ベラのような孤独な老人だっていっぱい居る。

そんなモヤモヤがどうしても心に残ってしまう。

老人の孤独死はまさに今の日本の陰の部分だし、(手前味噌で恐縮だが元塾講師の立場から言わせてもらうと)家庭内での性的虐待は意外と多く、中には「母親公認」で行われるケースもある。

 

内容があまりにも濃くてボクの文章力では語りきれないんだけど、社会派ドラマの好きな人なら大当たり間違いない映画だと思う。

もしお暇なら今週の末にでも近所のレンタル屋に行ってみてはどうでしょうか?

コメント

  1. 匿名 より:

    急に社会派?どしたんw

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